ここでは自費出版の基本的な知識についてご紹介します。
出版には、大きくわけて、商業出版と自費出版があります。
出版物(=本)を制作するには、印刷代や製本代などの費用がかかります。さらに書店などで並べて売る場合には、流通にかかる経費もかかります。出版社はこうした費用をすべて負担して、本をつくります。出版社が「商業物として売れる」と判断しなければ、こうした経費をかけて本をつくることにはなりません。
それに対して、制作に関する費用を著者が自分で負担してつくるものが、自費出版になります。自分史でも小説でも絵本でも、自分が出したい出版物を好きな体裁で出せます。この費用分担の違いが、商業出版と自費出版のもっとも大きな違いです。
一般的に本をつくる手順は、商業出版でも自費出版でも、どんなジャンルの本でもほとんど同じですが、おおまかにいうと下記のような手順が必要になります。
出版において、筆者ができることは、1の執筆だけです。2は編集者、3はデザイナ、4は校正者(編集者がかねることもあります)、5~6は印刷所、7は取次です。本を出版するにはこれだけの作業がかかるわけです。
自費出版の場合もほとんど同じですが、流通の部分が異なります。一般の自費出版は制作してできあがったところまででしょう。自費出版の本を書店に流通させることもできなくはありませんが、たくさんの部数を印刷しなければ書店には並びませんし、その分コストもかかり、あまり現実的ではありません。
実際に自費出版で本をつくるにはいくらくらいかかるのでしょうか。この費用はつくる本の体裁や部数などによって大きく変わります。たとえばほとんど文章だけの1色印刷の30ページ程度の本と、大判のカラー印刷の写真集では費用が大きく異なります。もちろん部数によっても違います。
安く作るなら10冊で数万円程度からできますし、部数などによっては数百万円かかることもあります。これはどこに頼むかにもかかわってきます。
一般に自費出版を行っている会社は、新聞・出版社系、編集プロダクション系、印刷所系などがあります。新聞・出版社系などでは、岩波書店などの老舗の有名出版社などでも自費出版をとりあつかっています。
印刷所系は、編集やデザインといって部分を全部仕上げて、印刷用データを作成したものを入稿するという条件が多くなります。そういった知識のあるユーザーならもっとも安くつくることができます。
編集プロダクション系、新聞出版社系の場合は、筆者は原稿を用意して、校正をチェックするだけでいいので、編集やデザインの部分をまかせることができます。出版社といっても大手から中小までたくさんありますので、ひとくくりにはできませんが、おおむね大手出版社などの制作のほうが高額になりがちです。
ただし自費出版は制作条件によっても価格が大きく異なりますので、どんな業者に頼むにしても必ず見積もりをとって比較することが重要です。